木曾山林資料館

                   

[この題字は演習林管理棟の入口に掲げてある館銘板の文字から起こしたものである。木曽町開田高原在住の椙本清美氏の揮毫による。]

木曾山林資料館2014.5.24OPEN

TEL.0264-22-2007 

〒397-8567 長野県木曽郡木曽町新開4236 木曽青峰高校新開キャンパス内

展示のご案内

当資料館には二つの展示室があります

 木曾山林資料館の展示物は、二つの展示室に分かれて展示されています。
 第一展示室はメインの展示室です。常設展示と言ってよいと思います。このたび、「林業遺産」に認定された林業教育資料と、その林業遺産を生み出した木曾山林学校/高校の108年にわたる歩みが、この第一展示室に展示されています。
 第二展示室では、林業遺産とは直接関係のない、木曾山林学校/高校のOBの方々の手になる美術・工芸品や著書、また山林学校を応援して下さった著名人からいただいた扁額等を展示しています。

第一展示室

 第一展示室の林業遺産にかかわる膨大な資料は、その代表的なものを次のような8つのグループに分けて展示してあります。108年の歴史は、草創期(明治期)・大正期・昭和戦前期・昭和戦後期の4つに大きく分けられます。平成13年(2001)に発行された、『木曽山林高等学校100周年記念誌』をもとに、そのときどきのエピソードを編集し、展示室の周囲の壁にパネルで表示しています。また、木曽に関連する林業遺産をパネルで解説しています。

①学校や同窓会の発刊物、生徒の作品
 学校創立直後から、生徒・教職員・卒業生の三者で組織していた「校友会」が発行していた『校友曾報』→『岐蘇校友』→『岐蘇林友』という雑誌が、明治35年から大正末まで169号発行されています。昭和の時代になって、『蘇門曾報』と名前を変え、昭和18年1月に戦争の影響で休刊するまで18冊出ています。この他に学校要覧とでもいうべき『木曾山林学校一覧』や、入学希望者に配布した『学校案内』等もあります。
 これらの資料は、すでに傷みかかっているものもあることから、その一部をガラスケースの中に展示しています。
 生徒の作品は、測量や測樹等の実習の成果を図面にしたものが主なものです。

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②明治時代から現代までの林業関係教科書
 教科書は昔も今も授業では重要なものです。明治時代のものは、学校に保存されていたものもありますが、当時の卒業生から寄贈された教科書も展示しています。赤ペンでびっしり書き込みのあるものもあり、真剣に勉強していた当時の生徒の姿を思い起こさせるものがあります。
 先生方が手作りした教科書が数種類あります。明治・大正期に先生方が、大学で勉強したときのドイツ林学の原書を持ち込んで授業をしたというエピソードが伝えられ、その原書類を20冊以上展示しています。
 林業という新しい分野の教育に熱心に取り組んでいたことがわかる資料です。

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③実習で使用した測量器械・測樹用具の数々
 実習で使用した測量器械や測樹用具もいろいろ残されています。測量器械では明治時代のmade in London のトランシットや、目盛盤に「子・丑・寅……」という十二支が刻まれているものなど山林高校のOBの方々にとっては懐かしいものがあります。測樹用具ではドイツ人の考案者の名前がついた測高器の珍品がいくつもあります。

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④山道具の数々
 下刈り鎌・木回し・とび・枝打ち鋸など、つい十数年前まで使われていた手道具の数々を展示しています。
 生徒の実習というよりは、山仕事の職人が伐採や造材に使っていた道具(明治~大正頃まで)も、木曽で使われていたものと、人工林の先進地である吉野林業で使われていたものが比較できる形で展示しています。また、戦後本格的に導入された頃の重量感のあるチェンソーも展示しています。

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⑤演習林や動植物に関するもの
 木曾山林資料館の南西側には約58 haの演習林が広がっていますが、演習林にかかわる動植物の標本も当館にはあります。
 鳥類・獣類・爬虫類の標本は代表的なものだけですが、植物標本は、演習林の樹木の種子を実習で採集した標本が充実しています。また、きのこの標本は、木曽山林高校できのこ関係の学会が開かれたときに、専門家の手で採集・同定していただいたものです。
 樹木のさく葉(押葉標本)も数多くありますが、演習林に限らず全国各地(戦前の台湾を含む)のものが700点あまり専用の標本箱に保存されています。特別なものとしては、大正2年に第三代安藤時雄校長が御嶽登山をして採集した高山植物80種余りの標本も残されています。

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⑥材鑑
 木材の木目・肌目・樹皮等を観察するための小片を林学では「材鑑」と言いますが、当資料館には卒業生が就職をした各地から送ってくれた材鑑がたくさんあります。
 外国産材の材鑑は、海外貿易で日本に入ってくる木材を知る必要から、材木屋や商社に就職した卒業生から寄贈されて数多くあります。

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⑦木曽五木
 江戸時代に尾張藩が貴重な樹木として伐採を禁止する目的で指定したのが、ヒノキ・サワラ・アスナロ・ネズコ・コウヤマキの5種で、これを木曽五木と呼んでいます。
 新開キャンパス内や演習林にも木曽五木が生育し、木曽五木の材鑑は、特に材質や色あい・香り等を観察する上で重要な教材として扱われてきました。当資料館には、大正時代に作製した大きな木曽五木の材鑑を展示しています。

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⑧各地の林業写真と運材模型
 木曽林業の機械化は、大正期の森林鉄道の敷設、集材機の導入に始まりました。手道具を駆使して樹木を伐採し、山から運び出し、川を流送していた時代の林業の姿は、今となっては全く見ることが出来なくなりました。
 当資料館には、当時の木曽の他に秋田・朝鮮・樺太等における林業の写真が残されています。また、木曽・飛騨地方で行われていた『木曽式伐木運材法』による運材装置の模型があります。
 森林鉄道・架線集材・自動車輸送へと変化した木曽林業の歴史を写真と模型で知ることが出来ます。

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第二展示室

 第二展示室は、卒業生の製作した絵画などの美術品や郷土史・自伝・文学作品などの書籍、木工品・工芸品などの展示、伊沢修二の『山霊生英傑』(さんれいえいけつをうむ)・田中芳男の『林業の教育』などの扁額を展示しています。また、木曽青峰高校の学校紹介パネル、農業クラブの活動報告研究収録集などを展示しています。
 当展示室の空きスペースを活用したギャラリーでは、『木曽山林学校絵葉書・木曽林業絵葉書』展示のほかに、今後は生徒の作品等の展示もしたいと思っています。

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講義室、書庫・閲覧席、ギャラリー

講義室

 会議用机と椅子を配置して講義や会議に使用し、その壁に歴代校長先生の肖像画・写真額を飾っています。また、室内全体をギャラリーとして使用することができ、『絵はがきに見る木曽の林業』企画展を開催しました。

書庫・閲覧席

 第二展示室の奧に当館のもう一つ重要な施設である書庫があります。この書庫は大きな書棚が15面連なるスライド式書架です。ここに創立以来の膨大な文書類が、全部で261個のバインダーに綴じ込んだ形で保管されています。
 図書は木曾山林学校時代の古い林学書をはじめ、中部森林管理局からいただいた図書、統廃合で閉鎖となった木曽谷の各営林署から寄贈された図書、木曾山林高校のOBの方々から寄贈された図書等々、現在までに登録が終了したものだけで約3,000冊が収納されています。この他に未登録のものも数百冊残っています。
 これらの図書は開館日に書庫に付属する閲覧席で見ることが可能ですし、事情によっては貸し出しすることもしています。なお、貸出の際には、貸出簿に記帳していただきます。

ギャラリー

 第一展示室の廊下側の壁面は、写真パネルを主としたギャラリーとして使用しています。2014年(平成26年)は原和明さんの木曽の風景写真を中心にした『魅せられて信州』と、原喜仁さんの『翡翠(カワセミ)に魅せられて』の二つの写真展を、2015年(平成27年)には千村稔さんの「黒川郷の石仏たち」の写真展を行いました。
 今後も、卒業生や地元の方々のいろいろな作品展などを開催したいと考えています。

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 ギャラリー①②③の使用は無料です。ギャラリー①②③の使用を希望される方は、ご相談ください。 

展示室、講義室、書庫・閲覧席、ギャラリー案内

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 第一展示室、第二展示室、書庫、講義室、ギャラリーは自由に見学できます。展示物の案内、質問等がありましたら、スタッフまでお声がけするか、呼び鈴を鳴らしてお呼びください。スタッフは主に準備室で仕事をしています。