木曽谷の夏祭りの最大のものが、水無神社の例大祭です。
毎年、7月22日・23日に行われます。ツユ末期の豪雨に見舞われる年もあれば、ツユ明けの猛暑に夕立が降ることもあります。この祭りに雨はつきものです。
初日は枠持ち(かつぎ手)が祝い歌を歌いながら、ときに「神歌」をつけ加え、町内を練りあるきます。
夜の花火も楽しみであす。狭い谷の中にドーンという音が響くと、お腹にズーンと応えます。音を楽しむ花火です。
2日目も残る町屋を巡行(渡御という)し、夕方には旧中山道の北東の端の鴨居坂に着きます。ここで御輿の飾り金具をはずし、御輿を水で清めます。北西の黒川の谷間に飛騨を望む場所からいよいよ「みこしまくり」が始まります。
転がす時の掛け声は「ソースケ・コースケ」に変わり、担ぎ上げては落とし、放りだしてはまた転がします。
御輿を転がすのには横まくりと縦まくりがあります。右の写真は街の中心地の四つ角で、クアライマックスに入った縦まくりのシーンです。
祭りは御輿がすっかり壊れるまで続き、見物する観衆は壊れた木のカケラを競って拾います。ご利益があるそうです。
こうして夏の夜が更けて、こもっていた熱気も沈んでいくと、木曽谷の季節はまたひとつ先に進みます。
(撮影:三尾秀一)