当館所蔵の膨大な標本の中から、選りすぐった逸品を紹介するシリーズの第3回です。
きょうは、明治43年3月に『岐蘇校友 11号』に「校友諸君に望む」と題して、江畑第2代校長が「林業・林学の教授用資料を収集して母校に送ってほしい」と檄を飛ばしたことに応えて送られてきた朝鮮・鴨緑江産の「材鑑」を紹介しましょう。
送り主は、明治38年・第4回卒業生の大島角蔵氏です。彼は卒業と同時に朝鮮総督府に就職、鴨緑江に近い咸茂山営林廠(署)で働いていました。『岐蘇校友』はそこにも送られて行きました。
そして仕事の合間に周辺の森林の樹木の中から16種を選んで、端材から40×22×120ミリメートルの標本を切り出し、それを納める箱も作って母校に寄贈したのです。江畑校長の要請からわずか4ヶ月後の明治43年7月のことでした。
こうして、大勢の卒業生から植物標本や木材標本、さらに森林や伐木運材作業等の写真まで、さまざまなものが学校に送られてきました。最終的には、大正元年に移転新築された校舎の「林業標本室」に展示され、100年以上にわたって在校生の授業に使われてきました。
現在の「木曾山林資料館」は、その標本室を核にしてつくられたのです。
是非、来館してじっくりと見ていただきたいと思っています。